当初、個展の表題は“縦と横の諸相”にしようと考えていた。だが諸相という語彙は本展の主題を狭めてしまう心配があった。縦と横という事柄は古く縄文時代、いや旧石器時代、いやいやおそらく人類の原初にさかのぼる。私は、用としての縦と横、好みとしての縦と横、中島みゆきの名曲「糸」に表現されてきたような譬えとしての縦と横、つまりは、古今の人間世界に存在する縦と横の総体とその本質に興味があるのだろう。
とはいえ“縦と横”という主題設定は作品表現上の方便だともいえなくもない。また周りを見回し時
を振り返れば縦と横を触媒にして切りもないほどの作品が生まれてきた。鑑みるに取りとめもない主題であるともいえる。だが、唯一そこに歯止めをかけているのが“わたし”という存在なのであろう。古今東西唯一無二。その“わたし”が縦と横を作品化した。そのように受け止めていただけるかどうか。
浅野光彦 経歴
昭和44年 株式会社日本映画新社(品川区上大崎)に入社
45年 個展 銀座ルナミ画廊
以降 美術活動停止
日本映画新社においてニュース映画(朝日ニュース)
省庁、自治体広報、ドキュメンタリー映像
大手企業、団体のPR映像
テレビ番組等の企画・演出を担当
平成10年頃より美術(絵画の制作)活動を再開
平成13年 株式会社日本映画新社を退社 フリーとなる
平成14年 映像制作プロダクション「村の畑の片隅で」代表
以降、「村の畑の片隅で」の映像作品の企画・演出・プロデュース活動
農水省放送機構・グリーンチャンネル・アグリネットにおいて
テレビ番組の企画・演出
並行して、
美術の制作・発表活動を30年ぶりに本格的に開始
平成15年 第1回個展(手がかり)ギャラリー ガラティア ファ イースト(茨城県守谷市)
平成16年 第2回個展(見えてくる流れ)
平成17年 第3回個展(文脈を消し去って)
平成18年 第4回個展(MORIYA守谷城JO)
平成19年 第5回個展(原理の中に神がいる)
平成22年 第6回個展(この世に遊ぶあの世) 茨城県つくば美術館(つくば市)
平成27年 第7回個展 ギャラリー ガラティア ファ イースト(茨城県守谷市)